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2013/06/30

What is Sociology?

先日、能開予備校岡山校で高校1年生を対象として配布した「学部・学科選びブックガイド」に掲載した原稿。

「100字前後で」と言われたのだが、書いているうちにどんどん増えていき、結局、こんな文章になったw

何しろ「社会学」は、一見わかりやすそうで、実のところまったくなんだかわからない学問でw、社会学者が100人いれば100通りの社会学が存在しかねないような曖昧模糊とした学問であるw
(;´д`)トホホ…

その中であえて「共通項」を見出すとすれば、「目に見えない"社会"なるものをいかにして言語化するか」ということではないか、と思うのだ。ところがこれだけだとなんのことやらさっぱりわからない。

…で、こんなに長くなったとw

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『社会学と文化人類学~「あたりまえ」を相対化する~』

ぼくたちは、社会の中で生きている。でも「社会」ってどうやったら目に見えるようになるんだろうか?そもそも「社会」ってどこにあるんだろうか?

社会学(sociology)とは、目に見えているけれど気づいていない「社会」なるものを、ことばを使って表現する試みのことだといえる。たとえば、統計を使って、社会の動向を把握し、それがなぜなのかを分析することも社会学の一つだし、もっとミクロなレベルでいえば、「おはよう」と言われた時に「おはよう」と返事をすることがどのようにしてなされているのかを記述することも社会学の一つだといえる。

後者の例をもっと詳しく考えると、たとえば「おはよう」という言葉に対しては一回だけ「おはよう」と言えば挨拶は成立する。仮に、A君が「おはよう」と言って、Bさんが「おはよう」と返したあと、A君がもう一度「おはよう」と言ったとしたら、おかしなことになるだろう。つまり、挨拶は「一往復」すれば成立するのだ。

だが、もしも、Bさんの「おはよう」があまりにも小声で聞こえなかったとしたら、A君がもう一度「おはよう」と言ってもおかしくはない。そうなると、先ほどの「一往復」という規則は必ずしも守られなくても済む。

このように、社会学の中には、人々が日常的に用いている「規則」に目を向ける学派がある。物理学などの自然科学は「法則定立科学」と呼ばれ、かりに法則に反する現象が見つかったらその法則が間違っていることになる。だが「規則」は、かりにそれに反する行為をしたとしても、その規則が間違っているわけではない。また、上の例でわかるように、「規則」はその都度、その場に応じて修正されて使われる。

そんな当たり前のことに対して、このように重箱の隅をつつくようなことをして何になるんだ?と思う人もいるかもしれない。だけど、ぼくたちがあたりまえに思っていることの中にこそ、じつは、とても複雑で、とても魅力的な宝物が隠されているし、目に見えてはいるけれど気づかれていない社会構造が、ふとした何気ない行為の中に現れるのを見つける喜びが、社会学の中には存在しているのだ。

このミクロな社会学の代表例の一つが「エスノメソドロジー(ethnomethodology)」と呼ばれる学派だ。これは比較的新しい学派で、日本では1980年代から注目され始めた(社会学の中ではどちらかといえば「異端児」ではあるけれど…)。

また、社会学を学ぶと、関連する諸学問についても学ぶ機会が必ず生じる。その中の一つが文化人類学(cultural anthropology)である。もともと、欧米がアジアやアフリカを植民地にする時、その土地の文化を知る必要から始まった学問で、最初は文献研究が中心だったが、いまではむしろ、そうした異文化を尊重し、その文化で実際に一定期間暮らしながらその文化を理解する「フィールドワーク」を必ず行うようになっている。

フィールドワークでは、文化人類学者はじぶんの文化の価値観をいったん棚上げにし、その文化で暮らす人々を「教師」として、その文化の価値観を尊重しながら学ぶ。このような立場は「文化相対主義(cultural relativism)」と呼ばれ、大学入試の英語、現代文、小論文でもよく問われている。文化相対主義の対立概念はエスノセントリズム(ethnocentrism:自民族中心主義)と呼ばれる。これは、自分の文化のモノサシで異文化を判断することだ。

考えてみれば、ぼくたちは常に異文化との接触の中で暮らしている。これはなにも、外国の文化と接するということだけではない。たとえば「オトナとコドモ」「男性と女性」も異文化同士だと考えられる。極端に言えば、じぶん以外の全ての人が異文化に属していると言えなくもない。

日常生活の中で、他者と衝突することがある。だが、そんなとき、相手の立場に立ってものを考えれば、ひょっとしたら解決の糸口が見つかるかもしれない。

社会学や文化人類学の考え方は、最初は取っ付きにくいかもしれないが、学んでいくうちに「ああ、なるほど」と思えてくる瞬間があり、じぶんが「あたりまえ」だと思っていることの中に、じつは落とし穴が潜んでいるのだ、ということに気がつくはずだ。まずは、ここに挙げたいくつかの本の中から好きなものを手に取って読んでみてほしい。全てを理解することは出来なくても、君の頭に何かピンとくるものがあるはずだ。

(文責:山添 玉基)

▼社会学の入門書・概説書
□ 稲葉 振一郎『社会学入門―“多元化する時代”をどう捉えるか』(NHKブックス・2009/06)
□ 浅野 智彦『図解 社会学のことが面白いほどわかる本―本当のことがホントにわかる!』 (中経出版・2002/5)
□ 奥井 智之『社会学』(東京大学出版会・2004/07)
→いずれも、気鋭の社会学者による入門書/概説書。社会学は公務員試験の問題にもなるので、将来、その対策にもなるだろう。
□ 宮台 真司『14歳からの社会学 ―これからの社会を生きる君に』(世界文化社・2008/11/11)
→社会学の入門書というより、社会学者の手による「社会の見方」をわかりやすく説いた本。

▼エスノメソドロジー関連
□ 前田 泰樹 (編集)・水川 喜文 (編集)・岡田 光弘『エスノメソドロジー―人びとの実践から学ぶ (ワードマップ)』(新曜社・2007/8/3)
→エスノメソドロジーの「入門書/概説書」ではあるけれど、内容は高度なので、まずは興味を持ったところから読んでみるといいだろう。

▼文化人類学関連
□ 祖父江 孝男『文化人類学入門』 (中公新書・1990/2)
□ 奥野 克巳・花渕 馨也『文化人類学のレッスン―フィールドからの出発』(学陽書房・2005/04)
→文化人類学の入門書。
□ 橋爪大三郎『はじめての構造主義』(講談社現代新書・1988/5/18)
→文化人類学者・レヴィ・ストロースが提唱した「構造主義」とは何か?を説いた刺激的な本。

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