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2012/08/21

A pleasant visit...

今日は名古屋から卒業生が2名、旅行のついでに岡山に立ち寄ってくれた。去年、ぼくの授業を最前列で受講していた仲の良い2人組で、青春18切符を使い、広島まで行ってきたそうだ。

2人ともアニメ好きで、うち1人は強烈なエヴァヲタなので、長船の刀剣博物館にご案内w

とても楽しんでくれたようだ。

その後、岡山城にも案内し、岡山駅まで送り届けた。

今日はたまたま授業が休みだったので、ぼくもいい骨休めになったし、卒業生の元気な顔を見られるというのは実に嬉しいことだ。

そのあとはネットカフェにこもって原稿。休憩に岡崎京子さんの『ヘルタースケルター』を読了。

この漫画が連載されたのは1995年~1996年のこと。当時としてはセンセーショナルで時代の先を行くストーリーだったと思うが、それから16年以上過ぎた今では、むしろ「あたりまえ」の話になってしまったのかもしれない。

芸能界の闇、エスカレートする美容整形、胎児の違法な横流し…

「化粧品なんてシャブみたいなもんよ
 使えば使うほどキクやつが
 必要になってくる
 どんどん強いもんが欲しくなる」(p.40)

「バーカ もうあんたらみたいな
 ザコとはつきあってらんねえんだよ!!

 そりゃ楽しかったわ
 あたしもキレイになって
 チヤホヤされるのがうれしくて
 バカなこともたくさんしたわ

 でもそんな遊びはもうおしまい
 7人の小人なんてもういらない
 欲しいのはたったひとりの王子様よ

 そう…私の人生の安泰を
 ぬくぬく保証してくれる
 ステキな王子様よ」(p.85)

だが、こうした出来事や価値観は、今の現実では芸能界だけに留まることはない。

「お金のために、キレイになって、自分の人生の保証を安泰してくれるオトコを探すために、いろいろなオトコと割り切って付き合う」という打算的(むしろ、「合理的」というべきか)な考え方は、今の若い女の子の中にも蔓延している。

同時に、そうした若い女の子を食い物にするオトコも腐るほどいる。狐と狸の化かしあい。

もちろん、こんなことは今に始まったことではない。だが、そうしたドロドロした世界への参入ハードルは驚くほど低くなっている。

『ヘルタースケルター』が連載されていた時より少し前の1993年、社会学者の宮台真司さんが朝日新聞に「ブルセラショップにパンツを売る女子高生」についての記事を書き、議論を呼んだ。

それ以前は、そうしたことにかかわるのは「不良少女」であり、良家のお嬢さんがそのようなことをすることは考えられなかった。ところが、東京のある私立進学女子校では、クラス単位でブルセラショップについての情報を共有し、表面上は「いい子」を装って(当然、親バレしないように細心の注意を払い)いそいそとパンツを売りに出かけている、という話で、その元凶は「団塊世代の親」にあるという。

団塊世代の親は学生運動にかかわった世代であり、既存の価値観を否定したものの、それに代わる新しい価値観を樹立できなかったがゆえに娘に対して倫理や道徳を説くことができず(何しろ、そうした倫理や道徳をじぶんじしんが否定してきたのだから)、その結果として、「親や学校にバレないようにうまく立ち回ればいい」という、ある意味では非常に合理的な考えが彼女たちの間に定着した、という分析である。

これに対して、社会学者の奥井智之さんが翌週の記事で「宮台は女子高生と共犯関係にある。そもそも、近代的な倫理や道徳がきちんと樹立されて行きわたっていないから問題なのだ」と批判し、それに対してさらに宮台さんが「そうした道徳や倫理を追求することができると考えることじたいが間違っている」という趣旨の反論をしたと記憶している。

考えてみれば、道徳や倫理というものは、いっけん、強固に見えるけれど、じつは非常に脆いものなのだ。なにしろ、倫理や道徳をそのまま実践することなどできやしないのだし、時代によって変化するものなのだから、どの時代にも普遍的に通用する倫理や道徳などというものはあり得ないのだ。

そのつかみようのない、霞のようなもやもやした倫理や道徳を若い世代に共有させる(あるいは、押し付ける)ことは、実のところ難しい。


ただ、今の若い子たちが『ヘルタースケルター』の主人公・りりこのように、打算的な合理性を追求した結果、絶望的な結末を迎えないことを祈るだけだ。

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