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2011/11/06

Let the poor & the weak die!?


TPP参加に関して、民主党の岡田前幹事長が次のように発言した。

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TPPで党内反対派をけん制 民主・岡田氏「国の基本方針」

 民主党の岡田克也前幹事長は6日のフジテレビ番組で、環太平洋経済連携協定(TPP)交渉参加問題に関し、党内の反対派を強くけん制した。「反対派には衰退してきた農業がどうなるのかということへの答えがない。具体策を持っているのか。単に反対するのは理解できない」と述べた。

 同時に「国を開くというのは基本方針で、TPPもその一つと位置付けないといけない。これぐらい決められないと民主党の基本姿勢を問われかねない」と強調した。

( http://www.nikkei.com/news/latest/article/g=96958A9C93819697E2E4E2E2EA8DE2E4E3E3E0E2E3E3E2E2E2E2E2E2 )
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TPP慎重派を批判=民主・岡田氏
時事通信 11月6日(日)10時51分配信

 民主党の岡田克也前幹事長は6日午前、フジテレビの番組に出演し、環太平洋連携協定(TPP)交渉参加問題について「反対している皆さんは、衰退していく農業がこのままでどうなるのかということに対する答えがない。そこの議論なくして単に反対しているのは理解できない」と述べ、慎重派議員の言動を批判した。

 岡田氏は「私はTPPを推進するという考え方だ。アジアの豊かさを、わが豊かさにするのが日本の基本戦略だ。閉じたままでやっていけるはずがない」と強調した。
( http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20111106-00000027-jij-pol )
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確かに、ぬるま湯では、強くなれない。そして、日本の農業や工業は、すでに諸外国に太刀打ちできる能力を失いつつある。それは十分承知している。

だが、TPPに参加すれば日本の農業や工業が回復する保証など、どこにもない。いや、むしろ、アメリカの言いなりになって(すでになってはいるが)、アメリカに飲み込まれてしまうのがオチである。岡田氏は「アジアの豊かさを、わが豊かさにするのが日本の基本戦略だ」とのたまっているが、そもそも、「アジア豊かさ」とは何を指しているのか?単に美辞麗句を並べ立てて反対派を恫喝しているだけではないか。

だいたいにおいて、TPPは、名前こそ「環太平洋戦略的経済連携協定(かんたいへいようせんりゃくてきけいざいれんけいきょうてい、TPP、Trans-Pacific Partnership、またはTrans-Pacific Strategic Economic Partnership Agreement)」となってはいるが、現段階での参加国はシンガポール、ブルネイ、チリ、ニュージーランドのみで、加盟交渉国はオーストラリア、ペルー、アメリカ、ベトナム、マレーシアの5か国、そしていま交渉に参加するかしないかで世論が二分されているのが日本である。

つまりこれはもともと、経済的に力の弱い国々が集まって作る経済的連携だったのだが、そこにアメリカがしゃしゃり出て、「なあ、日本も参加しろや、オイ!」と恫喝しているのだ。もちろん、その背後には、中国の台頭に焦ったアメリカが国威を掲揚するためであり、これは米中の経済戦争なのだ。

ちなみに、韓国はTPPに参加することが国益には不利だと判断し、代わりにアメリカと二か国間でFTA(自由貿易協定)を結んだ。

TPPは「加盟国の間で工業品、農業品を含む全品目の関税を撤廃し、政府調達(国や自治体による公共事業や物品・サービスの購入など)、知的財産権、労働規制、金融、医療サービスなどにおけるすべての非関税障壁を撤廃し自由化する協定」( http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%92%B0%E5%A4%AA%E5%B9%B3%E6%B4%8B%E6%88%A6%E7%95%A5%E7%9A%84%E7%B5%8C%E6%B8%88%E9%80%A3%E6%90%BA%E5%8D%94%E5%AE%9A )となっており、例外品目は認められていない。


もう16~17年ほど前になるが、大学院生の時、十勝地方の農業における情報化の進展について調査に行ったことがある。そこで印象的だったのは、十勝地方の酪農家や農家では、農協の枠組みを越えて、自分たちの意志で農業や酪農を切り開こうとする人々のあり方である。たとえば、農協では農業指導と称し、一年に決められた量の農薬を散布することを指示し、それに従わない場合、農協の流通ルートに商品を乗せることができない、としていた。そして、その農薬も、農協で扱っている特定のものでなければ認められない、という。

これに対して、十勝地方の農家の人々は、自分たちで安い農薬や飼料を探して購入したり、人体への害を考えて農薬の量を最小限にまで抑えたりして、少しでも消費者に良いものを届けようと各自が努力していた。当然ながら、農協の正規ルートでは出荷できない。だから、彼らは当時、パソコン通信(!)を使って東京の消費者とじかにやり取りをしたり、じぶんたちでデパートなどの販売ルートを確保し、じぶんが作った農作物やじぶんが育てた牛や豚を自信を持って送り出していた。

当然ながら、そのリスクも大きい。だが、そのリスクを背負ってでも彼らはじぶんたちの理想とする農業のスタイルを貫いていた。

しかしながら、こうした独立起業型農業は、むしろ例外的だと言うべきであろう(だからこそ当時、大学の指導教官がこの地域に注目したわけだが)。大半の農家は今もJA傘下で保護(支配)されているし、そもそも後継者不足で廃業したり、さらに今年は福島第一原発による放射能被害(風評被害も含む)のために、大打撃を受けているため、すべての農家が十勝地方のような独立独歩を維持することは難しいかもしれない。

だが、仮に門戸を開放するというのであれば、このように疲弊した状態で開放するのは得策ではない。世界で太刀打ちできる競争力を養うことが最優先ではないか。このままでは、弱った獣を野に放つようなもので、すぐに他の猛獣に食われてしまうだけだ。

「競争力をつける」という美辞麗句は、強者の驕りである。そもそも、競争力を失った日本の第一次産業を世界に通用するように育て、国を挙げて世界に売り込むことこそが最優先ではないのか。もちろん、TPPがその「ショック療法」になりうる、という可能性もあるかもしれないが、3月11日の震災と原発事故で完全に弱体化した今のままでは、ショックが強すぎて死んでしまうであろう。


しかしながら、そもそも、TPP問題は、もっと重大な問題をはらんでいる。それは、

[1] TPPは農業や工業だけの問題ではないということ
[2] そのことが国民に周知徹底されているとは言い難いということ
[3] TPPは実質的には日米の関税障壁撤廃であり、これを受け入れるということは、アメリカ型の社会になる可能性が極めて大きいということ
[4] TPPに反対するための代替案(および、仮に参加した場合の防御案)が全くといっていいほど出ておらず、賛成派も反対派も感情的な議論に終始している
[5] そもそも、政府も官僚もはなから信頼されていないので、いくら官僚や政治家が賛成/反対の主張をしても、誰も信じていない(特に、賛成派が防御案を提示しても、その「口約束」が守られるという保証はなされていないのだから、そんなものをうのみには到底できない)

ということである。

TPPに参加すれば、そこには「日本」はもう存在しなくなる。

TPP参加国と参加交渉国、および日本を含めた場合、総GDPのうち、アメリカ(67%)と日本(24%)で実に91%を占めている。つまり、実質的には、アメリカに対して日本が関税自主権を捨て、日本はアメリカの属国として、植民地化が完成することを意味しているのだ。

「歴史は繰り返す」と言うが、幕末にわけもわからぬまま幕府が結んでしまった日米修好通商条約をはじめとする一連の条約のために、日本は関税自主権を失い、その後数十年にわたって外交努力によって関税自主権を回復してきた。アメリカに対する関税自主権は、1911年に回復した。その努力が、今年、2011年に水泡に帰すのである。そう、わけもわからぬまま野田政権が行おうとしているTPP参加によって。


…と、ここまで書いていて、「あっ!」と思った。

今年は2011年。アメリカに対する関税自主権が回復されてからちょうど100年なのだ。

アメリカという国は、歴史は浅いくせに(笑)、変なところでドラマチックな仕掛けを作ろうとする。

その例が、12月23日。今の天皇誕生日だ。

極東軍事裁判において死刑の判決を受けた東条英機ら7名が巣鴨プリズン刑場にて絞首刑に処せられた。その日が12月23日。

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12月23日に死刑が執行されたことについては、水島総・渡部昇一ら国粋主義思想派が、「皇太子明仁親王の誕生日に合わせた事で、後の今上天皇の天皇誕生日と同じ日にA級戦犯が処刑されたという記憶を未来永劫国民に残し、天皇や皇族に対する国民感情を悪化させるGHQの巧みな意図(ウォー・ギルト・インフォメーション・プログラム)があった」と主張している。
(http://ja.wikipedia.org/wiki/A%E7%B4%9A%E6%88%A6%E7%8A%AF#.E6.A5.B5.E6.9D.B1.E5.9B.BD.E9.9A.9B.E8.BB.8D.E4.BA.8B.E8.A3.81.E5.88.A4.E3.81.AB.E8.B5.B7.E8.A8.B4.E3.81.95.E3.82.8C.E3.81.9F.E8.A2.AB.E5.91.8A.E4.BA.BA)
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もちろん、これが本当かどうかはわからない。

だが、アメリカが2011年内にTPPへの参加を急がせる理由は、ひょっとしたら、今年が日本の関税自主権回復100周年にあたるからではないのか?そう勘ぐりたくもなる。


岡田克也前幹事長といえば、イオングループの岡田一族の一人であり、イオンの岡田元也社長の弟である。当然ながら、アメリカ型の経営方式には賛成の立場であろう。

だが、イオンが進出したら、そのまちは確実に滅びる。たとえば、商店街が良い例である。いったん「シャッター通り」となったら、その商店街が復興することはほとんどありえない。

そんな商店街に対して「企業努力が足りない」と批判することはたやすい。しかし、イオンのような圧倒的な兵力を持つ大規模小売店舗がなりふり構わず攻勢をかけ、焼畑農業ならぬ「焼畑商業」によって焼き払われたまちは、二度と栄えることはないし、そのまちの独自性はもろくも失われてしまうのだ。

その弊害の一つが、"food desert"と呼ばれる現象である( http://www18.atwiki.jp/food_deserts/ も参照)。

大規模小売店舗の進出により、古くから地域に根差していた店舗がどんどん姿を消す。すると、買い物に行く足がない高齢者を中心に、近所での買い物ができなくなり、食糧事情が悪化する。下手をすると、月に1度、どうにか買い物に出かけてカップラーメンなどを買いだめし、それで何日も食いつなぐ、という例も報告されている。

さらに、先日の日記( History repeats itself.→ http://ses.txt-nifty.com/yamazoe/2011/11/history-repeats.html )でも述べたように、TPP参加によって医療が自由化され、日本が世界に(唯一…とまでは言わないが)誇れる「国民皆保険制度」が崩壊する可能性が急激に浮上してきた。

「急激に」というのは、そもそもこうした重大な問題を政府・官僚・マスコミが一体となって隠ぺいしてきたことが原因である。

昨夜、たまたまテレビでTBSの「情報7days ニュースキャスター」を見た。その時、TPP問題を特集していたが、医療の自由化に関しては一切触れず、相変わらず「農業が云々」としか論じられていなかった。

ここに、興味深いデータがある。

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日本経済新聞が2011年10月31日付朝刊で報じた世論調査の結果によると、環太平洋経済連携協定 (TPP) に「参加すべきだ」と答えた人は45%で「参加すべきでない」32%を上回る結果となった。一方でニコニコ動画が2011年10月27日に実施したネット世論調査では、回答を得られた8万4012人中、「参加すべき」は20.9%で、44.4%の「日本はTPPに参加すべきではない」を大きく下回る結果となった。
( http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%92%B0%E5%A4%AA%E5%B9%B3%E6%B4%8B%E6%88%A6%E7%95%A5%E7%9A%84%E7%B5%8C%E6%B8%88%E9%80%A3%E6%90%BA%E5%8D%94%E5%AE%9A )
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要するに、大手メディアの報道に基づいて判断を下した人は「賛成」、ネットユーザーでみずからあれこれ情報を探してきて判断した人は「反対」が多い、ということだ。

そう、知れば知るほど、胡散臭く感じられるのである。

ワイドショーで「TPPに参加すれば保険診療が使えなくなる可能性がある」と大々的に報じれば、間違いなく圧倒的多数が反対に回るはずだ。だから、メディアは報じない。いや、報じさせない。大本営発表だけを垂れ流していれば、じぶんたちの首はつながるからだ。

「国民皆保険は死守します」と言ったところで、マニフェストすらろくに守れぬ民主党がそんな口約束を守れるとはだれも思わない(だからといって自民党が良い、ということではない)。

なし崩し的に国民皆保険は崩壊し、アメリカのように高額の保険代と医療費を賄える裕福な層だけが医療を享受することになる。仮に保険診療が残ったとしても、競争原理が働けば、それが使えるのはごくわずかな病院だけに限られることになるだろう。アメリカの場合、保険会社が金を払うことを渋り、結局、高額な自腹の治療費が払えずに破産するか死ぬか、という現実がある( http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B7%E3%83%83%E3%82%B3 )。


要するに、「弱者と貧乏人は死ね!」というのがアメリカ的自由主義なのだ。


ぼくらもいつか、高齢者になる。

その時、そんな殺伐とした世の中で暮らしたいとは思わない。

ぼくらの子どもが成長した時、そんな殺伐とした世の中で暮らさせたいとは思わない。

「昔はよかったのに…」なんて言うような世の中にはしたくない。

日本が世界に太刀打ちする競争力を再び身に着ける必要は、もちろん、ある。

だが、何もかも一括してアメリカの真似をすることだけは、絶対に反対である。

守るべきものは、守らねばならない。

いつまでもアメリカにイニシアチブを取らせるのではなく、日本が誇るべきものをきちんと誇り、それを真似してくれ、とアメリカに、そして世界に求めるくらいの度量を持たねばならないのだ。

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