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2011/09/10

You had better be more careful.

人間、誰しも失敗はするし、失言することもある。

だが、残念ながら、世の中には何度となく失言しても意に介さず、反省すらできない者も往々にして存在し、さらに残念なことに、そうした人物が国家の要職についていることもままある。

フロイトにならえば、失言は、その人の抑圧された無意識下に潜む「本音」の露呈だとも言える。だからこそ、人前で話すことを生業とする者は(当然、ぼくじしんを含めて)本能の赴くままにしゃべるのではなく、一言一言を慎重に、かつ、流暢にしゃべらねばならないと思う。

もちろんこれは「本音を隠せば良い」という問題とも限らない。むしろ、失言を通じて本音が暴露されれば、その人物の判断材料にもなるし、暴露しても差し支えないような本音を持てば良いだけのことかもしれない。

また、ある発言が文脈から切り離されて一人歩きした場合、発言者の意図と異なった受け止められ方をする危険もあるから、ある発言だけをそのまま脊髄反射的に非難するのは妥当ではない。

とはいえども、この言動はあまりにも幼稚すぎるとしか言い様がないのだが。

===引用開始===
<鉢呂経産相>「放射能つけたぞ」記者に防災服をすりつける
(9/9 22:45 毎日新聞)

鉢呂吉雄経済産業相が東京電力福島第1原発の視察を終えた8日夜、東京都内で報道陣の一人に近寄って防災服をすりつける仕草をし、「放射能をつけたぞ」という趣旨の発言をした。不用意な行動と批判されるのは必至で、原発を所管する担当閣僚としての資質が問われそうだ。
===引用終了===

鉢呂大臣は、つい昨日も「死のまち」発言で問題になったばかりである。Wikipediaには以下のような記述が見られる。

===引用開始===
2011年9月8日、野田佳彦首相らと視察に訪れた福島県の東京電力福島第一原子力発電所の周辺市町村について、「市街地は人っ子一人いない、まさに死の街という形だった」と発言し批判を受け翌日撤回した。
===引用終了===

Wikipediaによれば、この鉢呂大臣はこれまでにも以下のような発言で物議を醸したようだ。

===引用開始===
2010年11月23日に起きた北朝鮮の韓国・延坪島砲撃について、「砲撃戦は民主党にとって神風だ」と発言した。

2010年11月30日、正副国対委員長会議で「野党の質問があまりにも低俗だ。答弁者は質疑者の低劣さに合わせなければ答えようがない」と発言
===引用終了===

売り言葉に買い言葉ではないが、この後者の発言にならえば「鉢呂大臣の言動はあまりにも低俗だ。国民は大臣の低劣さに合わせなければ理解のしようがない」とでも言うべきであろうか。

「死のまち」発言について言えば、そうした形容はわからなくもない。取り残されて無惨な死を迎えた動物たちや、いつ終息するともわからない放射能汚染を考えれば「死のまち」という印象を受けてもおかしくはない。

だが、そうした「死のまち」を生み出す元凶となった日本の政治・経済システムを推し進めてきたのは、ほかならぬ、自らの既得権益に汲々としているエスタブリッシュメントであり、この大臣もまた、好むと好まざるとにかかわらず、同じ穴の狢なのである(原発を推進してきたのは自民党で、鉢呂大臣は社会党から民主党へと移ったようだが、ぼくらからしてみれば、国会議員は与野党問わず皆、なあなあの馴れ合いエスタブリッシュメント集団であり、同じバケツに入った泥水だ。だから、いくらかき混ぜても、全て入れ替えぬ限り、綺麗な水にはなり得ない)。

鉢呂大臣の発言の問題点は、まだその土地に帰ることに希望を抱いている福島の人々の心を傷つけたことだけではなく、「死のまち」の犠牲に現代の日本の繁栄が依存していることを忘れたかのような、まるで「他人事」の発言である、という点にあり、しかもそれが、問題解決に向けて奔走すべき責任者の一人によってなされたことにあると思う。

もっと過激な言い方をすれば、原発による快適さに依存しているぼくらは全て加害者であり、加害者の一人で、かつ被害者救済の先陣に立つべき者が、被害者に向けて、被害者を貶める発言をしたようなものである。

ただし、先に述べたように、こうした発言はあくまでもマスメディアによって切り取られたものであり、特定の文脈から切り離されて一人歩きした可能性もある。

先ほど、Twitterで以下のようなツイートをみつけた。

===引用開始===
@568568568
記者「大臣(作業服)着替えてないんですか」⇒大臣「今福島から戻ったばかりだ、そんな暇ないよ」⇒記者「じゃ福島の放射能ついたままですか」⇒大臣やや怒って、一歩近づいて「それがどうした? 放射能つけてやろうか?」
09/10 07:50
==========

この発言にはソースが示されていない(ソースを求める書き込みに対する返信もいまのところなかった)。おそらくは、この @568568568 氏の想像上のやりとりではないだろうか。

だが、仮にこうした流れであの発言がなされたとしたら、鉢呂大臣は「ハメられた」とも言えるかもしれない(それでも脊髄反射的に不用意な応酬をすべきではなかったと思うが)。

そして、大臣の発言を推測したこのツイートに対して、以下のようなリツイートがなされた。

===引用開始===
@nauciccafe
鉢呂発言。記者の質問のほうがよっぽど問題→RT568568568 記者「大臣(作業服)着替えてないんですか」⇒大臣「今福島から戻ったばかりだ、そんな暇ないよ」⇒記者「じゃ福島の放射能ついたままですか」⇒大臣やや怒って、一歩近づいて「それがどうした? 放射能つけてやろうか?」
09/10 10:23
===引用終了===

この @nauciccafe 氏はこの後、 @568568568 氏にソースを求める書き込みをしたが、上に述べたようにまだ返事はない。

だが、この @nauciccafe 氏のリツイートがさらに拡散して、 @568568568 氏の大臣発言の推測がまるで真実のように受け止められつつある。

大臣発言の背景を探していたら、大臣発言の推測が一人歩きした場面に出くわしてしまったわけだ(笑)。


じぶんの言動がどう受け止められるかわからない以上、何かを発言する際には慎重に慎重を重ねるしかない。とくに政治家のように発言の影響力が大きな人はなおさらである。なにしろ、マスメディアは常に、失言を手ぐすね引いて待っているのだから。

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