« Where is my intention? | トップページ | It's time for you to try it!! »

2011/06/05

Altruism.

Altruism.
Amazonから注文していた本が届いた。そのうちの一冊が、レベッカ・ソルニット著『災害ユートピア―なぜそのとき特別な共同体が立ち上がるのか』(高月園子訳、亜紀書房、2010)。

Amazonで見かけてすぐに注文した。

〈災害〉と〈ユートピア〉とは結びつきにくい言葉だし、今の日本の現状では「不謹慎だ」との謗りを受けそうなタイトルだが、決して茶化したりしているわけではない。むしろ、今の僕たちが読むべき一冊だと思う。

災害が起こった後、町には略奪とパニックが横行し…というのはハリウッド映画の話。むしろ、市民たちはきわめて冷静に対処し、かつ、ふだんの生活では考えられないような相互扶助の精神に基づいたコミュニティ―一種のユートピア―が形成されてきた、というのが本書の主旨だ。

3.11の大震災の時、世界中が「日本人は冷静に対処していた」と驚嘆し、賞賛していたけれど、実はそれは日本に限ったことではない。この本を見れば過去の様々な大災害の中でこれまで繰り返されてきた風景だったことがわかる。

もちろん、一部には略奪やパニックなどがあったし、全ての人が利他的なふるまいをしたとは言い切れないだろう。

だが、「地震、爆撃、大嵐などの直後には緊迫した状況の中で誰もが利他的になり、自身や身内のみならず隣人や見も知らぬ人々に対してさえ、まず思いやりを示す」(同書、p.11)のも事実である。

そして筆者は、こうした利他的な状況が隠蔽されている原因として、「災害時にしばしば粗野な行動に出る、権力の座にある少数派の行動」と「メディアの思い込みと彼らの役割」を挙げている(p.20)。

ハリケーンカトリーナの直後、多くの市民が利他的な行動を示したにも関わらず、「警官や自警団員、政府高官、報道関係者を含む他の人々がニューオーリンズの住民を危険な人たちであると決めつけ」(p.9)たことで、救助が遅れたり、町からの脱出が阻まれた。

また、筆者は社会学者キャスリーン・ティアニーの言葉を引用し、「エリートパニック」という言葉を紹介している。

「彼女(キャスリーン・ティアニー)は『エリートは、自分たちの正統性に対する挑戦である社会秩序の混乱を恐れる』と主張した。彼女はそれを『エリートパニック』と呼び、パニックに陥る市民と英雄的な少数派という一般的なイメージを覆した。(中略)彼らは、自分たち以外の人々はパニックになるか、暴徒になるか、家主と店子の関係をひっくり返そうとしていると信じ、恐怖に駆られて、彼らの想像の中にのみ存在している何かを防ごうとし、行動に出る。」(p.172)
今の日本もまさにこの状況ではないか。政府を初め、東電、保安院など、「危機管理」を叫ぶものたちは、実は「エリートパニック」に陥っており、国民が非合理的な群集に過ぎないと勝手に決めつけているのだ。

原発の問題に関しては、ラトガース大学のリー・クラーク教授の発言を引用し、スリーマイル島の原発事故で「『エリートたちは住民がパニックになるのを恐れて、原子炉がどんなに危険な状態にあるかを公表しなかったのです』。人々が危険な存在であると想像したせいで、彼らは人々を大変な危険にさらしていたのだ」(p.176)と述べている。

まさに昨日の日記("Where is my intention?")に書いたのと同じ状況が、スリーマイル島でも起こっていたのだ。

この本は、昨年末に邦訳が出たばかりだが、何というタイミングの良さなのかと驚きを禁じ得ない。

昨日届いたばかりなのでまだ全てを読んだわけではない(何しろ440ページもあるので)が、これからじっくり読みたいし、多くの人に読んで欲しい本だ。

« Where is my intention? | トップページ | It's time for you to try it!! »

「日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« Where is my intention? | トップページ | It's time for you to try it!! »