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2009/07/09

誤訳と愛情

昨日は、テレビでMichael Jackson氏の追悼式典の様子が繰り返し報じられていた。

その中でなされた娘のParisさんのスピーチは、

"Ever since I was born, Daddy has been the greatest father you could ever imagine, and I just want to say I love him so much"

だった。

日本語に訳せば、「私が生まれたときからずっと、パパは想像しうる限り最高の父親で(あり続けま)した。そして、私がただ言いたいのは、私がパパのことを大好きだ、ということです」ぐらいになるだろうか。

今朝のワイドショーで、you could ever imagineの部分をコメンテーターが誤訳し、「想像以上に」と言っていた。そして、「世間で思われている姿とは違っていたのでしょうね」などとコメントしていたが、これは誤訳と思い込みに基づいたまったく見当違いの恣意的なコメントとしか思えなかった。

無粋かもしれないが、文法的な解説をすると、以下のようになる。

the greatest fatherという〈最上級形容詞+名詞〉の後に関係代名詞thatをつけてS + Vというかたちをつなげたとき、このthat S + V~は「SがV~する中で」という意味になる。

たとえば、

This is the best book [that] I've ever read.

であれば、「これは、私が今まで読んだ本の中で最高の本です」という意味になる。

つまり、

the greatest father you could ever imagine

という表現は、「あなたが想像しうる中で最高の父親」という意味なのだ(ちなみに、couldは仮定法過去、everは「仮に(も)」という意味である)。

人により、思い浮かべる父親像はさまざまである。そうした想像上の父親を比べてみて、その中で最もすばらしい父親、という意味であって、「想像しているよりも」という意味ではない。

だから、「世間で思われている姿とは違っていたのでしょうね」というコメントは、故人を思う娘さんの気持ちを全く無視した大変失礼な暴挙であると言えよう。これではまるで娘さんが世間の人々を非難しているかのように受け止められてしまうのだから。

娘さんのコメントは、父である故・Michael Jackson氏への深い愛情にあふれていた。"Daddy has been the greatest father you could ever imagine"という短いフレーズの中に、それが凝縮されているのだ。彼女は決して、「想像以上に」などと世間を非難するようなコメントを出してはいないのだ。

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