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2007/08/06

貧乏人は死ぬしかない。

貧乏人は死ぬしかない。
以前から読みたかった本が、先日ようやく手に入った。

NHKスペシャル『ワーキングプア』取材班・編
『ワーキングプア〜日本を蝕む病』(ポプラ社)

ホームレス化する若者、崩壊寸前の地方、死ぬまで働かざるをえない老人…豊かになったはずなのに、「貧困」なんてとっくの昔になくなったと思っていたのに、実は「貧困」はすぐ目の前にあり、「明日は我が身」なのだと思い知らさせる本である。

「生活保護を受けるしかねえって、いってもな。この家を手放すことはできねえ。俺は仕立屋だからな。家があれば生活保護が受けれねえって言うんだべよ。したら、仕方ねえ。貧乏人は死ぬしかねえべ」(p.71)

74歳になる洋服仕立屋の鈴木さんの言葉だ。秋田県角館の中心商店街に店を構えているが、得意先である農家や商店主が不景気でスーツを作らなくなったことに加え、スーツの安売りをする量販店が郊外にできたことで、「去年の年収をたずねると二十万円」(p.58)という状況である。

だが、これは角館に限ったことではないし、高齢者に限った話でもない。これは日本全国で進行している事象であり、若者も、働きたくても、不安定な派遣の仕事ばかりで正社員になれなかったり、無資格者であるなどの理由で仕事に就けないのだ。

企業側からすれば、低賃金の労働力を海外に求め、必要な時だけ雇える「都合の良い」派遣社員を使うのは理に叶っているし、資本主義では「弱肉強食」が原則なのだから、大型ショッピングセンターのような資本力の大きな企業が地方に進出すれば「ひとり勝ち」になり、何の対策も打てないまま地元の産業が衰退するのも止むを得ないのかもしれない。

かたや、消費者は消費者で「安いもの」「便利なもの」を求め、企業にコストダウンを迫る。高いものを買おうにしても、賃金は上がらず、将来の不安もあって支出を控える。

景気が良くなっただの、デフレスパイラルから脱しただのと言うが、それが仮に事実としても、これはあくまでも大都市圏の話に過ぎないだろう。地方との格差はますます広がるばかりだ。

「貧乏人は死ぬしかねえべ」

鈴木さんの言葉は、決してひと事ではない。

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